人は38億年という気の遠くなるような時間をかけて生きてきた過程で様々な、刺激を受けて、苦難や危険に出会って獲得してきた経験や免疫の蓄積が脳や身体各部に十分備わって、それらは、健やかに生活していれば、(この度合に個人差はありますが)自然治癒力として発揮され自然に治癒するのですが、近年食べ物、生活環境、過剰なストレスなどに対応しきれず、身体があちらこちら不快な症状や痛みを訴え自覚症状の有無に係わらず不安を抱えている人が多いと思います。治療効果の実績と経験豊富な伝承医学としての経絡治療は自然治癒力をおしみなく発揮させるスイッチを入れることで全く副作用は無くリラックスでき明日のためのリフレシュさらに生涯通しての健康法のベストといえます。
当院の経絡施術の三つの柱である陰陽五行、経絡、脈状診 についてご紹介いたします。
もと日陰と日向の意味。
易の解釈にも取り入れられ自然哲学、社会哲学に共通の基本用語に発展した。
両者は宇宙自然におけるあらゆる階層の運動を宇宙、自然の中に内在して盛衰する。医学における陰陽とは、人は陰陽の二気の結合によって生まれ陰陽の分離によって死に陰陽二気の不調によって病気になるという思想が前提としてあり、陰陽は人体の生理的状態、病的状態の表現や、部位の認識にいたるまで広く応用されています。生体の基本である「気血」という語も陰(血)陽(気)として陰陽思想でおきかえられ気血の循行する経絡も陰陽で分け、これと関連する臓(陰)腑(陽)も陰陽として診ています。
このように陰陽は、 生と成 屈伸 動静 天地 春秋 上下 男女 生死 精神と形態気血 表裏 臓腑 などあらゆるものに適用しています。
体においては陰臓 肝、心 脾 肺 腎 陽腑 胆 小腸 胃 大腸 膀胱 但し此処で言ってるこれ等の臓腑は現在の解剖学での肝臓や胆のう、脾臓とはちがいます。囚人等を解剖しておりますが生体においての機能面を実体の臓腑であてはめています。
そして気の自己運動による互いに循環し転化しあい互いに対立し依存しあい全体としての世界、天下および各事物とその変化をなしているという相関概念です。
五行思想は春秋戦国時代には既に成立していました。秦漢の時代に流行した説で特に前漢時代は五行説の全盛時代でした。政治、宗教、哲学、全ての分野にこの説が適用され医学思想中にも全面的にとり込まれました。
五行説とは天地万物の基本的属性を規定して、これをかりて一切の相互的な現象を説明しようとし、そのためにさらに,相生関係、相剋関係などが規定されていて、木、火、土、金、水とその属性によって分類された五行は相生関係にあり母子関係ともいい五行がお互いに助け協力する仲の良い関係で回る輪の様に繋がっています
陰
陽
もう一方の相剋関係の剋とは勝つ意で木火土金水の五行がただ孤立的存在ではなく互いに制御し合い拮抗していることで抑制され同等の力関係が働き調和が維持されています。
これら五つの分類と相生、相剋の作用し合い依存し合い変化する関係は臓腑経絡はじめ人体の各器官や精神面(喜怒哀楽)好み(嗜好、味覚)など多岐にわたり陰陽五行の調和がとれている場(身体)では人は心身共に健康でありそのどれかがバランスを崩すことで全体の関係が影響をうけ変化すると説いています。
経絡は解剖学上では全く見ることはできません。それで現代医学においては実体が把握できていないので現在も認められてはいないのです。
しかし鍼灸医学とりわけ経絡治療においては診察、診断、施術において経絡が全てといっても過言ではありません。
経絡とは生命を営むに必要な栄養やエネルギーを循行する働きがあって身体くまなく滋養しており一定の秩序に従って全身、臓器と臓器、臓器と身体特定部位を連結しまた臓器と体表、四肢末端と体幹部を連結しています。
このように経絡は生体機能の有機的統一をなしまた内部諸臓器や器官の機能状態や変化を体表部にて窺い洞察することで経絡から臓器、身体各部位に影響をあたえる経路として、これらの機能が陰陽,五行の法則に些かも違わず一瞬も休むことなく実現されていて生体においてこの経絡の発見こそ東洋医学、特に経絡施術の真髄といえます。そして独自の医学体系から経絡学説と呼ばれています。経絡学説では内臓の生理と病理は常に経絡に反映しそこに(経絡上に)現れ、外界の変化や影響が常に経絡を通じて内臓に伝わり内臓と経絡とは内外相反映しあっていて、疾病は経絡の変化として把握することができ、また経絡の変動を調整することにより疾病を治療することができるのです。
また鍼灸医学では、頭頂部にある「百会穴」と呼ばれる経穴を用いて痔疾を治し足の膝関節外側下部にある「三里」という経穴を用いて胃腸を整えさらに足の内踝の「照海」という経穴で因痛を治めるなどこのように幾つもの疾病や苦痛を治めるのに灸をすえ解消させることができます。これは西洋医学的見地からは説明できません。この内部との連結が網の目のように行き渡り直ちに応じてスイッチを入れ解消しようとします。これ等の仕組みは理論からの追究ではなく実践の経験から積み重ねられた知識です。この経絡や経穴についてさらに駆使することで有効度がまだまだ増す可能性があります。
鍼灸医学における経絡施術とはどんなことかと申しますと、病院に行くと先ず患者さんに、体の何こがどんな風に痛いとか具合が悪いとか聞いて診察を受け診断するためには尿や血液、血圧或いはレントゲンなどで検査をして問題が見つかった臓器や器官の病名や部位の傷害の診断を受けそれに対応する薬を服用し、また、場合によってはMRや手術が必要となる処置がなされます。此の時検査では問題として、とり挙げることがなかったり検査に出てこなかったけれど患者さんは訴えていた事にはあまり注目してもらえませんね、それは、仕方のないことで現代医学では人体の臓器や器官をバラバラに解体して、その形態や異常値の逸脱状況を検査して診断がなされます。此処で診ているのは専ら臓器や諸器官、組織などの個別の機能状態です。
事物の分析を徹底して、「何が問題か」を追究して行く態度は非常に大切と思います。一方弱った心身のゆがみや冷え、緊張状態、また 高齢者にはに調和のとれた活動を促すやり方でその人なりの元気を取り戻す、それが経絡施術で昔ながらの問診、診察、施術が今もかわらず陰陽五行説に基づいて、鍼や灸を用いて行います。これは洋の東西を問わず古代から近世まで医療がまだ人体を外科的方法によって内臓や諸器官を処置することが可能ではなかった時代の物の考え方です。けれど、ここが重要ですが、心身の内部状態を、体表から察知しその解消もできる。(具体的には経穴の選択)このような事が身体の調和を目的として発展してきた伝承(経験)医学の経絡施術だからこそできることと、思います。
東洋医学の柱である中国医学においてもその生理観の基本は、自然を征服するのではなく、畏敬の念をもって崇めその自然のおりなすさまざまな事象としての陰陽(前述してありますが人では臓腑、気血、表裏 背面腹面 精神と形体 陰気,陽気など 自然や宇宙においては太陽と月、昼と夜、明暗、など)や五行(属性によって五つに分類)については東西南北と中央 五季は春夏秋冬と土用 五味では酸苦甘辛塩 五臓は心肝腎脾肺 このように自然界の総て(森羅万象)をこの陰陽五行思想によって解釈し、また人体においても同様に把握し医学の実践に活用しました。ここでの陰陽五行の陰陽とは元は(本来)は一体(一つの物)の二極面でその関係は相対的に対立し相互に変化し転化することで一体を保っている。例えるならばこれは、自律神経ごとき物ではなかろうかと、また五行は、万物を属性によって五つに分類し五つが相生(仲の良い助け合う関係)相剋(依存し合って拮抗することで抑制され調和を保つ関係)の規定に従って循行している。個別の知識や認識は非常におおざっぱで、類推や分類などの方法で高度で複雑な認識をすることは一見幼稚にすら感じられます。しかし実践の場で対象と向き合った時、病気を治すための真剣さ、は生体に表出している一瞬一瞬の脈と、体の状態を関係づけて特定し、さらにその時の手足、体幹部に緊張、色の変化、痛み等の異常が現れしかも陰陽五行の法則に従っていることから、後に、陰経絡六経、陽経絡六経、の、十二経絡を発見しその、陰陽の経絡にそれぞれ五種類の作用のことなる、経穴(五行)が有りさらに身体前面中心線上の経絡任脈、背面督脈など、観察状況をくまなく記録して膨大な蓄積を残しその結論や原理については後の人々の技術力や思考力に任せ中国人が自ら分析追究することを是とはしませんでした。このように、丸ごとの人間に一貫した方法をもって時間を掛けた経験によることで脈と経絡、脈状と経穴の関係が読め、症状、病証そして最も大事な「証」の決定にいたりました。
脈状診について伝承医学の鍼灸施術に於ける最も重要な分野で自然観、生命観、病理観、から疾病の診察、診断、施術、の全般を、貫く、基本的、理論の集大成ともいえると思います。なぜなら、陰陽、五行、経絡、五臓六腑、を、網羅しさらに、経絡の選別、要穴の選択、病因病症の判定、また施術の手技、に至る全般を決めることが、できその正否まで確認することができます。脈状診左右橈骨動脈部3ヶ所中の一定位置にあります。
【参考・引用文献】